「あれ?」から生まれる笑いと気づき
介護の現場には、マニュアルには載らない「ちょっとしたズレ」や「思わぬリアクション」があふれています。
ご利用者の何気ないひと言や、スタッフの何気ない勘違い。
その一瞬一瞬に、笑いと学び、そして人間らしさが詰まっています。
今回は、「刻み」「悪口」「好きなもの」という三つのエピソードを通して、
“ちょっとズレたやりとり”が、どうしてこんなに愛おしいのか――
その理由を、ゆるっと漫画でお届けします。
読むと、きっと少しだけ心がゆるみます。
【漫画】18. 刻み|刻んでも刻んでも出てくる玉ねぎ

「食べられる」=「全部OK」ではないというリアル
介護現場では「きざみ食」や「ミキサー食」など、食べやすさに配慮した提供方法が日々実践されています。
でも、どんなに細かく刻んでも、「特定の食材だけピンポイントで口から出てくる」なんてこと、ありますよね。
この漫画のように、“玉ねぎだけ的確に出てくる”姿に、思わず笑ってしまいそうになるけれど、実はとてもリアルなエピソード。
見た目では判断できない「違和感」や「嫌な感じ」を、ご本人は確かに感じているのだと思います。
刻み食でもよけられる理由は、味でも硬さでもなく…
「嚙める」「飲み込める」といった機能面はクリアしているように見えても、“なんとなくイヤ”“喉に残る気がする”といった感覚は、ことばで説明しづらいものです。
特に玉ねぎは、独特の辛みや繊維の残り方、香りの強さなど、刻んだだけでは拭いきれない特徴があります。
だからこそ、ただ物理的に「細かくする」だけではなく、その方の好みや過去の食経験まで想像を広げてみることが、寄り添うケアにつながっていくのかもしれません。
たとえば「前も玉ねぎ出してたな…」と記録に残しておくだけでも、チームケアの大きなヒントになりますよね。
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自分の声に、そっと耳を澄ませる時間になるかもしれません。
【漫画】19. 悪口|名前は覚えないのに悪口は覚えてる!?

繰り返される“〇〇ちゃん”の謎ネーミング
認知症の方との関わりのなかで、何度も繰り返される“ちょっとズレた会話”。
でも、その裏には「なんとか関わろう」「あなたを覚えていたい」という強い社会性や意欲が隠れていることもあります。
この漫画のように、名前を間違えられても、まったく知らない名前で呼ばれても、それは“無関心”ではなく“つながろうとする気持ち”の表れかもしれません。
たとえ会話がかみ合わなくても、「人と人」として向き合おうとするその姿に、ふと笑ってしまいながらも、どこか温かさを感じる瞬間があります。
「悪気がない」が通用しないとき、どう受けとめるか
現場ではよくあることですが、何度も名前を間違えられたり、“おちびちゃん”などのニックネームで呼ばれたりすると、言われた側は内心モヤッとすることも。
特に、悪気がないとはわかっていても、他者がいる場面で繰り返されると、ちょっとしたストレスや悲しみに変わっていくこともあります。
大切なのは、その都度“正す”のではなく、まずは「本人が何を伝えたいのか」「なぜそう呼んでいるのか」を、ユーモアを交えて受けとめる視点。
たとえば職員同士で軽く笑って受け流せる関係性があると、その場の空気も和らぎます。
そして、名前を覚えられないことに対して過度に責めることなく、その方なりの“関わろうとする努力”を見逃さないことが、優しいケアにつながります。
「このままでいいのかな」──
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【漫画】20. 好きなもの|“巨人”じゃなくて“Mr.ジャイアンツ”だった

本人の中の“好き”を、ちゃんと掘り出す視点
「好きなもの:巨人」
それを見た介護スタッフが、“巨人軍”=“プロ野球”だと思って声をかける…。
でも反応はいまひとつ。なんとなく噛み合わない空気に、スタッフも少し戸惑いがち。
実は、ご本人が好きなのは「野球チームとしての巨人」ではなく、「Mr.ジャイアンツ」こと長嶋茂雄さん。
ほんの少しのズレが、心の距離感につながる――現場ではそんな場面がよくあります。
「好き」や「得意」って、とてもパーソナルなもの。
表面のキーワードだけをすくうのではなく、そこにある“背景の物語”を知ろうとすることが、関係性を築く一歩になるのかもしれません。
心をひらく鍵は、案外ちょっとズレたところにある
人と関わるとき、「どうすれば笑ってくれるか」「どうすれば心を開いてもらえるか」と悩むことがあります。
でもそれは、こちらが期待する“正解”に寄せるよりも、相手の世界に“近づく”ことのほうが大切。
今回のエピソードのように、最初は反応が薄くても、テレビの画面に知っている人が映ったとたん、表情がパッと変わる――そんな瞬間に出会えることもあります。
「ここだったのか!」とズレに気づいたとき、その違いを面白がれる余裕があると、関係もぐっと柔らかくなります。
情報よりも体験、正しさよりも共感。
ご本人のペースに合わせた“ちょっと寄り道するケア”が、思わぬ笑顔につながるかもしれません。
ここまで読んでくれたあなたへ。
少しでも「自分のこと」と感じたなら、大丈夫。ちゃんと選べます。
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自分を責めずに、そっと未来をのぞいてみませんか?
まとめ|笑って、気づいて、ちょっと寄り添える日へ
思い通りにならないこと。
伝えたつもりが、うまく届かないこと。
介護の現場には、そんな“ズレ”が日常茶飯事です。
でも、そこに笑いが生まれることもあれば、
相手の世界をのぞくヒントが隠れていることもあります。
今回のエピソードを通して、
「正しく関わる」よりも「一緒に笑える」ことの尊さを、
あらためて感じていただけたら嬉しいです。
一人ひとり違う“リアル”を、
今日もあなたのやさしさで、そっと包んであげてください。
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このブログを書いている「まきこむ」と申します。
介護支援専門員(ケアマネジャー)として働きながら、趣味で創作活動も楽しんでいます。
介護にまつわる悩みや、日々の気づき、そして「やさしい未来を一緒に歩むためのヒント」を、このブログにそっと詰め込んでいます。
読んでくださった方の心が、少しでも軽くなるように。そんな思いを込めて、言葉を紡いでいます。
どうぞ、ゆっくりと遊びにきてくださいね。

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