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介護のしごとを豊かにする回想レク 昭和の思い出が紡ぐ心のケア

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介護のしごとを豊かにする回想レク 昭和の思い出が紡ぐ心のケア
目次

回想レクとは? 介護の現場で注目される理由

回想レクとは? 介護の現場で注目される理由

懐かしい思い出を語り合うと、自然と笑顔がこぼれてくるものですね。介護の場で、そんな心温まるひとときを共有できる回想レクをご存知でしょうか。

回想レクを耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、これはただのレクリエーションではありません。ご利用者様に心の豊かさを届ける特別な時間なのです。では、なぜ介護の現場でこの回想レクが注目されているのでしょうか。ご利用者様にとっての大切さと、私たち介護職員に求められる役割を考えていきましょう。

共感を大切に

ご利用者様の思い出話に耳を傾けることで、お互いの絆が深まります。

自分を責めない

完璧でなくても大丈夫です。小さなステップを一歩ずつ踏み出しましょう。

心地よい安心感

昔の話を通じて、心がほっと和む瞬間を作り出します。

すべてを完璧にする必要はありません。一つ一つ、小さな実践が大切です。忙しい合間にも、少し心のゆとりを持って取り組んでみてくださいね。

利用者様の心を豊かにするレクリエーション

回想レクという活動は、その名の通り、過去の記憶を優しく思い出すことを目的としています。昔の写真懐かしい音楽馴染みのある物など、五感に訴えるさまざまな「きっかけ」を使って、ご自身の楽しい思い出や大切な経験を語り合いましょう、というものです。この活動は、アメリカの精神科医ロバート・バトラー氏が提案した「回想法」に基づいており、特に認知症ケアの分野でその効果が知られています。

私が関わったある施設での出来事をお話ししますね。普段はあまり話すことがなく、無表情だったAさんというご高齢の方がいらっしゃいました。ある日の回想レクで、皆で昔懐かしいアイドルの写真を見ていた時のことです。スタッフがAさんに「あの方を覚えていますか?」と尋ねると、Aさんは表情が柔らかくなり、「好きだったの。この人のコンサートにも行ったのよ」と、少し恥ずかしそうに微笑みながら答えてくれました。その時の彼女の目は、まるで少女のように輝いていて、とても印象的でした。それ以来、Aさんは少しずつ自分のことを話してくれるようになったのです。

このように、回想レクは単なる娯楽ではありません。忘れていた記憶を呼び起こし、心を動かし、脳を活性化させる大切な時間です。そして、何よりも、ご自身の人生が豊かで価値あるものであったことを再確認できる、貴重なひとときとなるのです。それは、現在を生きる中での活気と彩りをもたらし、「その人らしさ」をさらに輝かせる、大切な心のエッセンスなのかもしれません。

  • 懐かしい写真や音楽を手に取ってみましょう
  • 語り合う時間を大切に
  • 思い出すこと自体が大切ですよ

全部を完璧にやる必要はありません。小さな一歩から始めてみましょう。心が少しでも軽くなっていただければ嬉しいです。

介護職に求められる「心のケア」

介護の仕事というと、食事や排泄、入浴などの身体的ケアが中心に見られがちですが、本当に大切なのは心のケアでもありますよね。とはいえ、具体的にどんなことをすればいいのか、わからないと感じる方も多いのではないでしょうか。特別なカウンセリング技術が必要なのでは、と不安に思うかもしれません。

でも、大丈夫です。日常的にできる心のケアとして、おすすめしたいのが回想レクです。この方法は、専門的な知識がなくても、ご利用者様のお話に真摯に耳を傾ける傾聴がポイントになります。私たちは「聞き役」に徹し、ご利用者様が物語の「主役」となれる場を提供します。

「その時、どんなお気持ちでしたか?」
「それは素晴らしい経験ですね!」

こういった相槌や共感の言葉が、ご利用者様の心をさらに開き、自分の話を真剣に聞いてくれる喜びへとつながります。この体験によって、ご利用者様は「大切にされている」「受け入れられている」と感じ、自己肯定感が高まるのです。

忙しい毎日の中で、ご利用者様一人ひとりの人生の物語に触れる時間は、私たち介護職にとっても大切なひとときですね。ご高齢者としての人生を尊重し、その歴史に耳を傾けること。それが私たちにできる、最高の「心のケア」の形だと私は考えています。

最後に、一つだけ覚えていてください。全部を完璧にしようとせずに、小さな一歩を踏み出すだけでも意味があります。

なぜ“昭和”なのか? 回想レクと世代の記憶

なぜ“昭和”なのか? 回想レクと世代の記憶

懐かしい歌や風景に触れると、ふと心が温かくなることってありますよね。あの頃の思い出は、私たちの心をしっかりと捉えて離さないものです。回想レクのテーマはいろいろありますが、中でも「昭和」という時代は特にご利用者様の心に深く響くようです。

では、なぜ「昭和」がこれほどまでに多くの方を惹きつけるのでしょうか?それは、この時代に特有の思い出と、時代そのものが持つ特別な意味が大きく影響しているからかもしれません。

ここでは、思い出をより楽しむためのヒントをいくつかご紹介します。どれも日常に無理なく取り入れることができるので、忙しい時でも気軽に試してみてください。

  • 昔の写真を見ながら、おしゃべりを楽しんでみる
  • お気に入りの昭和の曲を、一緒に歌ってみる
  • 昭和のドラマや映画を観て、当時の雰囲気を感じてみる

無理にすべてをやろうとしなくて大丈夫です。一歩だけでも、心地よさを感じることが大切です。「昭和」が持つ魅力を、自分のペースで楽しんでくださいね。

共通の話題が心を開く鍵

今、介護施設を利用されているご高齢者の多くは、感受性豊かな青春時代や社会で活躍されていた壮年期を昭和という時代と共に歩まれてきました。昭和は、戦後の復興から高度経済成長、東京オリンピックや万国博覧会といった、日本全体が活気に満ち溢れていた時代です。みんなで同じ歌を歌い、同じ映画スターに胸をときめかせ、同じニュースに心を動かされた、そんな時代です。

このような共通の体験はとても特別で、回想レクリエーションで大きな力を持っています。例えばグループで回想をする際に、「子どもの頃、どんな遊びをしましたか?」と聞いてみると、「めんこだよ!」「ビー玉もあったね!」「ゴム跳びもしたなぁ」といった声が次々に上がります。日頃はあまり交流のないご利用者様同士でも、「あなたもそうだったのね?」と盛り上がり、自然に会話が弾みます。

若い世代の介護職の方々にとっては、知らないことばかりかもしれません。でも、それでいいのです。

「ダイヤル式の電話ってどうやって使うんですか?」
「ちゃぶ台返しって本当ですか?」

などと純粋に質問することで、ご利用者様は自然に「先生」となります。自分の経験を誰かに伝えることは、大きな喜びと自信につながるものです。昭和という共通の思い出があるからこそ、世代を超えた温かいコミュニケーションが生まれ、心の扉を開く鍵となるのです。

  • 質問を通じて、ご利用者様の「先生」となっていただきましょう。
  • 共通の体験を話題に、自然な会話のきっかけを作りましょう。
  • 全てを知る必要はありません。わからなくても大丈夫です。

高齢者様にとっての昭和の時代背景

昭和という時代は、ただ懐かしさに浸るだけのものではありません。当時の社会の雰囲気は、今とは大きく異なり、その中で生きてこられた方々の誇りが息づいています。何もないところから国を再建し、家族のために精一杯働き、お子さんを育ててきたその姿は、簡単なものではなかったでしょう。しかし「頑張れば明日はもっと良くなる」と信じ、社会全体が一つの目標に向かって一体となって取り組んでいた希望がありました。

ご利用者様が語る昭和の思い出は、単なるノスタルジーにとどまらず、ご自身が人生で果たしてきた役割の物語です。「給料袋をそのまま妻に渡すのが嬉しかった」「子どもの服を手縫いで仕立てた」というエピソードには、家族を支えてきたという確かな自負が感じられます。

年を重ね、身体が不自由になったり、誰かの助けが必要になったりすると、人は役割を失ったように感じてしまいます。「もう誰の役にも立てない」と感じる喪失感は、心に大きな傷を残すことがあります。けれども、回想レクを通じて、自分が輝いていた時代や誰かのために一生懸命だった自分を思い出すことは、自分の人生が決して無駄ではなかったと実感する、心強い時間です。

激動の昭和を生き抜いてこられたこと、それ自体が人生の勲章です。その勲章を私たちは敬意をもって、一緒に振り返らせていただく。そのような時間こそが、回想レクの核心なのかもしれません。

  • 無理にすべてを行う必要はありません。一歩ずつ、少しずつでも大丈夫です。
  • 昭和の思い出を語ることで、人生の輝かしい瞬間に立ち返ってみましょう。
  • 誰かのために頑張った自分自身を思い出し、今の自分を見つめ直すきっかけに。

回想レクがもたらす心理的効果

回想レクがもたらす心理的効果

懐かしい思い出話に触れたとき、心がふわっと温かくなる瞬間を感じたことはありませんか?昔のことを語り合う時間には、心に元気を与える不思議な力が潜んでいます。ただ楽しいだけでなく、ご利用者様の日々の生活にポジティブな変化をもたらす可能性があるのです。

心を癒す回想レクリエーションの効果は、意外と深いものがあります。ここでは、実際に現場で見てきた具体的な変化を、次の4つの側面からご紹介します。

心の温かさを感じる

思い出を共有することで、心がしっかりと温まります。

新たな気づきを得る

過去の経験から、新しい視点を見つける手助けになります。

日々の安心感を育む

懐かしい話が日常に安心をもたらします。

小さな実践へのヒント

過去の経験から、今できる小さな一歩を見つけましょう。

何かを変えようとする時、「全部を一度にやる必要はない」と心に留めておいてください。一歩ずつ進むことが大切です。

過去を肯定的に振り返る心の安定

誰しも自分の人生を振り返るとき、時には後悔や辛かった思い出が頭をよぎることがありますね。特にご高齢の方々は、健康や役割、親しい方々を失った経験に目が向きやすく、不安や孤独を感じることもあるでしょう。そんな中、回想療法というものがあります。これはあえて「楽しかったこと」や「頑張ったこと」、「嬉しかったこと」に焦点を当て、自分の人生の明るい側面に光を当てる方法です。

例えば、認知症が進行して今日の出来事が思い出せなくても、若い頃の記憶がはっきりと残っていることが多いです。その思い出に触れる時間は、ご本人にとって安心できる貴重なひとときと言えるでしょう。

「こんなこともしてきたんだ」
「こんな素敵な思い出がある」

と過去の自分を再評価することで、今の自分をも肯定できるようになります。この「過去の自分からのエール」は、心の揺れを支え、心穏やかな状態を保つために大きな助けとなるのです。

自分の人生の物語を語り、それを誰かが受け止めてくれる――それが心の安定につながる、大切なひと時です。そんな素敵な時間を過ごすためのヒントをいくつかご紹介しますね。

  • 毎日少しの時間、過去の良い思い出を振り返る
  • 語りたいときに、無理せず自然体で話してみる
  • 自分を責めず、できたことや嬉しかったことに目を向ける

この中から、気軽にできそうなことがあれば試してみてください。全部やらなくても、一歩だけでも大丈夫ですよ。

役割と自尊心を取り戻す喜び

介護施設での生活では、どうしても「お世話される」側に回ることが多いかもしれません。しかし、回想レクの場面では、その関係が見事に逆転します。ご利用者様は、まるで昭和の生活や文化を語り伝える語り部のように活躍され、私たち介護職にとっては人生の先輩として重要な役割を果たしてくださいます。

例えば、ある施設で「昔の家事」をテーマに行ったときのことです。洗濯板とたらいを用意すると、一人の女性のご利用者様が「貸してみて」とおっしゃり、見事な手つきで洗濯の仕方を実演してくださいました。その手際の良さ、そして誇らしげに微笑む表情を見て、若いスタッフたちは「すごい!」「勉強になります!」と感嘆の声をあげました。彼女もとても嬉しそうにしていました。この体験をきっかけに、彼女は他のご利用者様に編み物を教えるなど、得意なことを活かして周囲と積極的に関わるようになりました。

  • 誰かに何かを教えることで、自分の知識や経験が役立つことに気づく
  • 自尊心を取り戻し、「自分はまだやれる」「必要とされている」という喜びを再確認する

こうした気づきの中で、回想レクはご利用者様が主役となり、自分の力を再発見できる素晴らしい機会となっています。無理をせず、一歩を踏み出してみることで、新たな世界が広がるかもしれません。

笑顔と活力を生むコミュニケーション

回想レクの時間になると、いつものフロアが少し違った雰囲気に包まれます。あちらこちらで笑い声が響き渡り、会話がはずむ中、まるで空間全体が明るいエネルギーで満たされているようです。普段は物静かなご高齢者が、昔のヒットソングのイントロを耳にした途端、歌詞を見ずにスラスラと歌い始め、ご利用者様の周りを驚かせることもあります。

懐かしい思い出が自然に笑顔を引き出し、その笑顔は心身に良い影響をもたらします。笑顔が免疫力を高めたり、ストレスを和らげたりすることは、科学的にも認められているのです。また、過去を振り返り、その思い出を誰かに伝えることは、脳を刺激し、認知機能の維持や向上につながるとも言われています。

楽しい会話は生活に彩りと活気をもたらします。次の回想レクでどんなお話が聞けるのかを楽しみにすることで、未来に向けた希望が生まれます。このようにして生まれた笑顔や会話は、その場だけに留まらず、ご利用者様の心に温かい灯をともし、日々の生活に活力を与えてくれるのです。

  • 自然な笑顔で過ごすことを心がける
  • 懐かしい曲や思い出話を楽しむ
  • 新しいことよりも安心できる「これまで」を大切にする

すべてを完璧にこなす必要はありません。一歩ずつ、できるところから始めてみてください。

他者とのつながりを深める共感体験

人は、いつも誰かとつながりながら生きているものですね。たとえば施設での生活では、他の方との良い関係があると毎日の生活がもっと豊かになります。

「あら、あなたもその映画を映画館でご覧になったの?」
「うちの主人もその会社にいましたよ」

回想レクリエーションを通じて、こんな偶然の一致を発見することはよくあることです。

同じ時代を共にし、同じ文化を分かち合ってきたという背景があるからこそ生まれる「共感」。この共感は、心と心の距離をぐっと縮める役割を果たします。「この人も自分と同じように感じていたんだ」という発見は、孤独を和らげ、仲間意識を育てます。これまで挨拶だけだった方々が、このレクをきっかけに親しくなり、食堂で隣に座って話が弾むことも少なくありません。

そして、この共感の輪には、私たち介護職も加わることができます。ご利用者様の思い出話に一緒になって感動し、驚き、笑うことで、「ケアをする側」と「される側」の壁を越え、一人の人間として繋がることができるのです。この深いレベルでのつながりが、やがて揺るぎない信頼関係の土台となります。

  • 共通点を見つけることを意識してみる
  • 小さなことでも、ご利用者様との会話を大切に
  • 心からの笑顔を忘れない

すべてを完璧にしようとしなくても良いのです。少しずつでいい、一歩踏み出すことで新しい気づきが得られるかもしれません。

介護のしごとで回想レクを実践するポイント

介護のしごとで回想レクを実践するポイント

「何を話せばいいんだろう…」と感じたこと、きっとありますよね。でも大丈夫です、少しの工夫で会話が自然に弾むことができるんですよ。

「回想レクリエーション、やってみたい!」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、実際に現場で回想レクリエーションを企画し、実践するためのポイントを3つのステップに分けてご紹介しますね。それは「テーマ選び」「準備と流れ」「安全への配慮」です。

回想レクリエーションへのステップ
  • どんなテーマがご高齢者の心に響くか考えてみましょう。
  • 無理のない範囲で、心のこもった準備をしてみてください。
  • ご利用者が安全に楽しめるように配慮することも大切です。

すべてを完璧にしようとしなくて大丈夫です。一歩ずつ進んでいきましょうね。こうした気づきを持つだけでも、きっと充実したひとときを共有できるでしょう。皆さんの取り組みが、ご高齢者の心に温かさと安心をもたらすことを願っています。

個々の利用者様に合わせたテーマ選び

回想レクを成功させるには、テーマ選びがとても大切です。みんなが興味を持ち、話を膨らませやすいテーマを選ぶことが鍵となります。そのために、ご利用者の日々の会話から出身地や若い頃の職業、趣味、好きな食べ物などを少しずつ聞き取ってみてください。情報はケアプランやフェイスシートだけではなく、もっと身近なところにもあります。

誰もが共感できるテーマ

「子どもの頃の遊び」や「学生時代の思い出」、「好きだった給食」や「結婚式の思い出」など。

五感に働きかけるテーマ

「昭和の流行歌を聴く会」や、「懐かしいお菓子を一緒に食べる」、「昔の道具に触れる」など。

季節感を大切にしたテーマ

「お正月の過ごし方」や「夏休みの思い出」、「運動会の記憶」など。

地域に根ざしたテーマ

地元のお祭りや昔の地域の風景写真を見てみることで、自然と話が盛り上がることがあります。

全員が同じように話せなくても大丈夫です。お話しすることが好きな方もいれば、ただ聞いていることを楽しむ方もいらっしゃいます。それぞれの性格や状態に合わせて、無理のない参加ができる雰囲気を心掛けたいですね。一度、小さなグループから始めてみるのも良い方法でしょう。

思いやりと柔らかさを持って、ご高齢者の方々との時間をより豊かにするためのちょっとしたヒントになれば幸いです。無理をせず、少しずつ試してみてくださいね。

準備から実施までの具体的な流れ

大切なテーマを選んだ後は、その準備と当日の流れを考えることが重要です。少しの工夫で、レクの質を大きく向上させることができます。

ステップ1:道具の準備

テーマに沿った思い出を引き出す「きっかけ」を用意します。これらは皆さんが懐かしい記憶を楽しく振り返るためのものです。

  • 写真や映像
    昔の雑誌の切り抜きや古い絵葉書、昭和時代のニュース映像などがあります。インターネットで「昭和レトロ 写真 フリー素材」と検索すると、著作権を心配せずに使用できる画像を見つけられます。
  • 音楽
    昭和の歌謡曲や童謡のCD、レコードが最適です。音楽は瞬時に思い出を呼び起こす力があります。
  • 実物
    ブリキのおもちゃや昔のお菓子、古い家電、めんこやお手玉など、実際に触れられる物は五感を刺激して、思い出をより鮮明にします。ご家族の協力を得てアルバムをお借りするのもよい方法です。
ステップ2:環境設定

安心して話ができる環境を整えることも大切です。

  • 参加者が互いに顔を見られるように、椅子を円形に配置します。
  • 静かな場所を選び、リラックスして話に集中できる空間を作りましょう。
ステップ3:当日の進行

1. 導入(アイスブレイク)
  「今日は、皆さんの若かった頃の懐かしいものを持ってきました」と優しくテーマを伝えます。スタッフの自己開示が、会場を温かく和ませるきっかけになります。

2. 展開
  準備した道具を見せたり音楽を流したりしながら、自由にお話しいただきます。「これを見て、何か思い出しますか?」と優しく問いかけ、思い出を共有しましょう。他の方にも話を振り分けることで、皆さんが楽しめる時間にしましょう。

3. 深める
   「その時、どう思いましたか?」「一番楽しかったことは何ですか?」といった感情に焦点を当てた質問をすると、より深い思い出が引き出されます。

4. まとめ
  最後に、「今日は貴重なお話をありがとうございました。とても楽しかったです」と感謝の気持ちで締めくくります。

このプロセスを通じて、ご本人が安心して懐かしい思い出を共有できる場を作ることができれば、とても素敵ですね。お話を伺うたびに新しい発見があり、私たちも多くのことを学べるでしょう。

安全に配慮した楽しいレクのヒント

回想レクリエーションには、本当に素晴らしい効果があります。しかし、それを実施する際には、いくつか心に留めておきたい点があります。ここでは、みんなが安心して楽しめる時間を作るためのヒントをご紹介します。

辛い記憶への配慮

  人生には楽しい思い出もあれば、時に辛い経験もあります。もしご利用者様が辛い記憶について話し始めたら、まずはその気持ちに寄り添い静かに耳を傾けましょう。「それはお辛かったですね」と共感を示すことで、ご利用者様が話しやすくなるかもしれません。そして、もしその話題から離れたいご様子であれば、「別のお話もまた聞かせてくださいね」と優しく話題を転換してみましょう。

物理的な安全

  昔の道具を使うことがある場合には、それらが安全であるか、壊れやすくないかを確認しましょう。また、食べ物を扱うときは、アレルギーや嚥下機能に十分気をつけて、誤嚥のリスクを避ける配慮が大切です。

参加の強制はしない

  ご利用者様が「参加したくない」「話したくない」と感じることもあります。その気持ちを尊重し、「見ているだけ」「聞いているだけ」でも大歓迎ですという温かい雰囲気を作りましょう。そうすることで、安心して参加できる場を提供できます。

このようなポイントを心に留めながら進めていけば、ご利用者様にとっても、私たち介護職にとっても、心に残る素敵な時間となるでしょう。それぞれのペースで、少しずつ実践していけると良いですね。

回想レクで広がる介護職の可能性

回想レクで広がる介護職の可能性

ご利用者様が「昔はね…」とお話になる横顔に、普段よりも一層の輝きを感じたことはありませんか。その方が歩んでこられた人生の物語に触れる瞬間は、私たちにとってもかけがえのない宝物です。

これまで、回想レクリエーションがご利用者様にどのような効果をもたらすかをお話してきました。しかし、実はこの活動は私たち介護職員にとっても、成長とやりがいにつながる貴重な経験となるのです。

  • お話を聴くことで、ご利用者様の人生に寄り添う気持ちを持つ
  • ご高齢者の言葉から、日常の中に小さな喜びを見つける
  • 自分のペースで、無理せず一歩を踏み出す

大切なのは、すべてを完璧にこなすことではなく、一歩ずつ進み続けること。忙しい日常の中でも、少しずつ実践していければ、それで十分なのです。

専門スキルとやりがいを深める

回想レクという活動は、介護の仕事をしている私たちにとって、とても大切な時間ですね。ご利用者様お一人おひとりの物語に触れることで、その方にぴったりなケアを考える手がかりが見つかります。このプロセスを通じて、自然と理解力や企画力が深まっていきます。

そして、その場を心地よく進めるコツや、みんなが楽しめるようにする工夫なども身についてきます。これらのスキルは、普段のケアでもきっと役立ちます。「この仕事を選んで良かったな」と感じる瞬間を、回想レクは私たちに与えてくれます。

時にはバタバタとした日々の中で、私たちはケアの面白さや大切さを見失いがちです。そんな時こそ、回想レクが思い出させてくれるのです。

  • ご利用者様のお話を、傾聴するだけでなく、一緒に過去の出来事に共感してみる
  • みんなが参加しやすい、シンプルなテーマを選ぶ
  • 無理せず、一つだけ新しいことを試してみる

「全部完璧にしなくても大丈夫」「今日はこれだけやってみよう」という気持ちで、少しずつ実践してみてください。慌ただしい日々に、これらの時間が少しでも皆さんに癒やしを与え、心を豊かにしてくれますように。

利用者様との信頼関係を築く力

介護の基本は信頼関係にあります。しかし、日々の忙しい業務の中で、食事や排泄、入浴の介助といった作業に追われていると、一人ひとりのご利用者様とじっくりと向き合う時間が取れず、もどかしさを感じることもあるでしょう。

そんな時、回想療法は私たちに新たな視点を提供してくれます。この時間を通じて、ご利用者様の人生の物語に耳を傾け、一緒に笑ったり、時には涙したりすることができます。この体験を共有することで、私たちは「単なる介護スタッフ」を超え、その方の人生に寄り添う「信頼できるパートナー」になれるのです。

「この人は私の気持ちを理解してくれる」と思っていただけると、日々の介護も驚くほどスムーズに進むことがあります。声掛けに対する反応が良くなり、介助の際の拒否も減るかもしれません。回想療法を通じて築かれた信頼関係は、介護の質そのものを高め、ご利用者様にとっても、私たち介護職にとっても、穏やかで豊かな毎日を創り出す力となるのです。

  • ご利用者様の話に耳を傾ける時間を少しでも作ってみる
  • 短いエピソードでも良いので、共に笑い合う時間を大切にする

肩の力を抜いて、小さな変化を積み重ねていくことが、より豊かな介護の世界を築く第一歩です。

まとめ

この記事では、「昭和の思い出」をテーマにした回想レクが、どのようにしてご利用者様の心を豊かにし、介護の仕事に新たな輝きを与えるのかについてお話ししてきました。

回想レクは、単なる昔話ではありません。ご利用者様の尊い人生を認め、時には忘れかけてしまった役割や自尊心を取り戻し、他者との温かい繋がりを育むことができる大切な「心のケア」です。そして、私たち介護職にとっても、この時間は専門性を深め、ご利用者様との信頼関係を築く貴重な機会となります。

日々の介護の現場は忙しく、心に余裕がなくなることもあるかもしれません。それでも、ほんの少し立ち止まり、目の前のご利用者様の「人生の物語」に耳を傾けてみましょう。

  • 「子どもの頃、どんな遊びが好きでしたか?」と優しく尋ねてみましょう。
  • その会話がご利用者様の心に温かい光を灯します。
  • あなたの介護の仕事をより豊かで素晴らしいものに変えてくれるかもしれません。

この記事が、明日からのケアのヒントとなれば、とても嬉しく思います。何も全てを完璧にこなす必要はありません。まずは一歩、できることから始めてみましょう。

このブログを書いている「まきこむ」と申します。

介護支援専門員(ケアマネジャー)として働きながら、趣味で創作活動も楽しんでいます。

介護にまつわる悩みや、日々の気づき、そして「やさしい未来を一緒に歩むためのヒント」を、このブログにそっと詰め込んでいます。

読んでくださった方の心が、少しでも軽くなるように。そんな思いを込めて、言葉を紡いでいます。

どうぞ、ゆっくりと遊びにきてくださいね。

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