はじめに|「怖い」と感じるあなたへ
「ターミナルケアが怖い」と感じるとき、
胸の奥がぎゅっと締めつけられるような不安に襲われることがあります。
けれど、それは“弱さ”ではありません。
命の終わりに向き合おうとする、あなたのやさしさが生んだ自然な感情です。
- 何を話せばいいかわからない
- 沈黙がつらい
- 判断に自信が持てない
こうした不安を抱くのは、あなただけではありません。
多くの介護職の方が、同じような気持ちを経験しています。
完璧である必要はないのです。
言葉が見つからなくても、ただそばにいることが、どれほど大きな支えになるか。
この先の記事では、ターミナルケアの基本的な考え方とともに、
「怖さの正体」と向き合い、心を少し軽くするヒントをお届けします。
あなたのペースで、読み進めてみてください。
ターミナルケアって何だろう?|《用語解説》と基本の理解
「ターミナルケア」とは、治療によって回復が見込めなくなったご利用者に対して、
残された時間をできるだけ穏やかに、心地よく過ごしていただくためのケアです。
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自分の声に、そっと耳を澄ませる時間になるかもしれません。
延命治療よりも、ご本人の安心や快適さ、尊厳を大切にする関わり方。
身体だけでなく、心やスピリチュアルな側面にも目を向けていきます。
ターミナルケア(終末期ケア)
医学的な回復を目指す治療からは離れ、「その人らしい最期」を支えるケア全般。
苦痛の緩和、心の支え、ご家族へのサポートも含まれます。
私たちにできることは、決して特別なことではありません。
- 声をかける
- 清潔を保つ
- 姿勢を整える
- 静かに寄り添う
「正解」や「完璧なケア」ではなく、その場にいることの意味を大切に。
あなたの気づきや手のぬくもりが、ご利用者とご家族にとって大きな支えとなるのです。
命の最終段階を支えるケアとは
「ターミナルケア」とは、余命が限られたご利用者が、
その人らしく最期を迎えるために行う総合的なケアのことです。
身体だけでなく、心や社会的なつながりまで含めて支えるのが特徴です。
大切なのは、「QOL(生活の質)」を守ること。
ただ長く生きるのではなく、心地よさや尊厳を大切にした時間を支えていきます。
- 身体的ケア:
痛みや息苦しさを和らげる - 精神的ケア:
不安や孤独に寄り添う - 社会的ケア:
ご家族や医療チームと気持ちをつなぐ
たとえ言葉がなくても、そっと手を握るだけで、
そのやさしさは静かに伝わっていきます。
あなたの存在が、
ご利用者とご家族にとってのぬくもりになるのです。
医療と介護のちがいと重なり
ターミナルケアの現場では、
医療と介護がしっかりと手を取り合うことが求められます。
- 医療の役割:
症状のコントロール、薬の管理、臨床的判断 - 介護の役割:
生活の支援、気持ちのケア、信頼関係の橋渡し
それぞれの専門性は異なりますが、
実際の現場ではその境目が曖昧になることも多いのです。
たとえば
- 口腔ケアの最中に痛みを訴えられたとき
- 呼吸が苦しそうな様子に気づいたとき
- ご家族が不安げに質問してきたとき
その瞬間に「医療か介護か」を判断するよりも、
「何を大切にしたいか」に意識を向けることが何より大切です。
ご利用者とご家族の想いを真ん中に置いて。
チーム全体で息を合わせて寄り添うケアが、
もっともあたたかく、力強い支えになります。
「怖さ」の正体を見つめてみる
ターミナルケアに向き合うとき、
「怖い」と感じるのは、とても自然なことです。
それは、未知の世界に一歩を踏み出すときの緊張感。
そして、命と向き合う責任の重さからくるもの。
ここでは、その「怖さ」の奥にある気持ちを
3つの視点から、そっとひもといてみましょう。
「怖い」と感じるあなたは、きっとやさしくて、誠実な人。
その想いが、すでにケアの一部になっているのだと思います。
経験のなさによる不安
初めてのターミナルケア。
緊急の場面や、ご利用者のつらさに直面すると
「どうすればいいの?」と戸惑ってしまうものです。
- 突然の呼吸困難や痛みへの対応がわからない
- 小さな変化を見逃してしまうかもしれない不安
- 医療チームへ、どのタイミングで報告すればいいのか迷う
こうした不安は、誰にでもある自然な反応です。
大切なのは、「できなかった」ではなく
「次はどう備えようか」と一歩ずつ考えていくこと。
- ケーススタディで、実際の流れをシミュレーション
- ベテラン職員と組んで、場面ごとの対応を学ぶ
- 日々の小さな疑問も、チームで共有・確認していく
不安があるからこそ、深く学び、やさしくなれます。
経験の浅さは、成長の入り口。どうか責めずに、歩いていってください。
死を前にした沈黙と空気
最期のときが近づくと
ふと、言葉を失う瞬間があります。

「何か話した方がいいのかな」
「この沈黙、どう受け止めたら…」
そんな迷いが、胸に広がっていきます。
- 言葉を選ぶことへのプレッシャー
- 沈黙そのものを抱えるしんどさ
- 空気を和ませたいのに、方法がわからない焦り
でも、沈黙は“悪いこと”ではありません。
静けさには、想いをめぐらせる力があります。
- そっと手を添えて、「ここにいるよ」と伝える
- 深呼吸して、自分の気持ちと場の空気を落ち着かせる
- 言葉よりも、表情やしぐさで“察する”やさしさを大切に
沈黙は、共有する時間そのものがメッセージになります。
無理に埋めなくても大丈夫。
あなたのそばにいる姿勢が、なによりの支えになります。
自分のケアがこれで良いのかという迷い



「この声かけで、安心できただろうか」
「もっとできることが、あったかもしれない」
そんなふうに、自分に問いかけてしまうことはありませんか?
振り返るたびに、無力さや後悔がじわりと広がっていく──
それは、命に向き合うあなたのまっすぐさの証です。
でも、ターミナルケアにおける“最善”とは
特別な技術や言葉ではありません。
- 目線を合わせて、ただ静かにうなずくこと
- なでるような、やわらかな声のトーン
- 時間をかけて丁寧に行う清潔ケア
そんな、日々の中の小さなケアの積み重ねが
やさしさとして、確かに届いています。
完璧じゃなくて、大丈夫です。
「誠実であろうとしたこと」
その一歩ずつが、あなたのケアの力になります。
怖くても大丈夫|不安と向き合うためのやさしいヒント
「ターミナルケアが怖い」と感じることは、
それだけ真剣に向き合っている証拠です。
ここでは、不安を少しずつ和らげるための
やさしいヒントをお届けします。
どれかひとつでも、できそうなことから。
- 呼吸に意識を向けてみる
深く、ゆっくりと深呼吸。
自分の緊張に気づき、少しだけやわらげましょう。
心拍や息遣いは、あなたの味方です。 - 知識を小分けに学ぶ
痛み緩和や症状変化など、気になるテーマを短時間で復習。
eラーニングやスライドなど、“少しずつ”が続けやすい学び方です。 - チームで気持ちを分かち合う
日々の迷いや気づきを、声に出してみましょう。
ベテランの話には、今のあなたに響くヒントが詰まっています。 - シンプルケアを重ねる
手を握る、目を合わせる、声のトーンを穏やかに。
小さな行動が、信頼という大きな安心につながります。 - “できたこと”をそっと記録する
「今日、こんな声かけができた」
そんな瞬間をメモしておくと、自信の芽になります。
不安がすべて消えなくても大丈夫。
やさしさのかたちに正解はありません。
あなたなりの歩幅で、少しずつ前へ進めば、それで十分です。
ヒントを実践する5つのポイント
怖さや不安を抱えながらも、
あなたは誰かのそばにいることを選んでいる。
その姿勢こそが、かけがえのないケアです。
ここでは、今日から実践できる5つのヒントを
やさしい視点でご紹介します。
1.感情を否定しない
「怖い」「不安だ」──そう感じるのは、
あなたが誰かの人生に、真剣に寄り添おうとしているから。
その気持ちは、弱さではなく、やさしさの証です。
- 心に浮かんだ想いを、ノートに書き出してみる。
- 信頼できる誰かに、そっと話してみる。
言葉にすることで、感情は少しずつ輪郭を持ち、
あなたの中で、やさしく整っていきます。
2.一緒にいることを大切に
言葉よりも、そっと添えた手。
目を合わせる、その静かな瞬間に、
「ひとりじゃない」という安心が生まれます。
沈黙の中にも、あなたのぬくもりは届いています。
無理に言葉を探さなくても大丈夫。
ただ“そこにいる”ことが、何よりのケアになるのです。
3.チームで支える視点をもつ
あなたが気づいた“小さな変化”は、誰かの安心につながるかもしれません。
だからこそ、報告・連絡・相談を丁寧に。
ターミナルケアは、一人では抱えきれない営みです。
気づきを言葉にして、チームで共有すること。
その積み重ねが、ケアの質を高めていきます。
4.先輩の言葉や事例に耳を傾ける
経験者の一言には、教科書には載っていない“現場の知恵”がつまっています。
「こんなとき、私はこうしたよ」
その体験談は、あなたの不安をほどくヒントになるかもしれません。
定期的に先輩の話を聞き、
具体的な言葉かけやふるまいを、自分のケアに少しずつ重ねてみましょう。
5.“うまくやる”より“そばにいる”を選ぶ
ターミナルケアでは、「何をしたか」より「どうそこにいたか」が、心に残ることがあります。
たとえ言葉が見つからなくても、
そっとそばにいること、それだけで安心を届けることができるのです。
緊張したときは、深呼吸をひとつ。
あなたの落ち着きが、その場の空気をやさしく整えてくれます。
自分を責めないで|涙も戸惑いも、あなたの思いやりです
ターミナルケアの現場で感じる涙や戸惑いは、
あなたが“命”に真正面から向き合っている証です。
不安があるからこそ、ケアはやさしさを帯び、
迷いがあるからこそ、心から寄り添えます。
感情を押し込めず、書き出してみましょう。
そして、信頼できる仲間と分かち合ってください。
自分の心を守ることも、大切なケアのひとつです。
おわりに|「怖かったけど、寄り添えた」と思える日へ
声をかける勇気。
手を握った温もり。
チームと学んだ小さな発見。
それらすべてが、「怖い」と向き合ったあなたの証です。
その一歩一歩が、確かに、あなたのやさしさを育てていきます。
ここまで読んでくれたあなたへ。
少しでも「自分のこと」と感じたなら、大丈夫。ちゃんと選べます。
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自分を責めずに、そっと未来をのぞいてみませんか?
時が経ち、ふと振り返ったとき、
「怖かったけど、寄り添えた」と思える日が、きっと訪れます。
あなたの積み重ねが、命を支える大きな意味を持つことを信じて。焦らず、比べず、自
分の歩幅で進んでください。
あなたのやさしさは、すでに始まっています。
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このブログを書いている「まきこむ」と申します。
介護支援専門員(ケアマネジャー)として働きながら、趣味で創作活動も楽しんでいます。
介護にまつわる悩みや、日々の気づき、そして「やさしい未来を一緒に歩むためのヒント」を、このブログにそっと詰め込んでいます。
読んでくださった方の心が、少しでも軽くなるように。そんな思いを込めて、言葉を紡いでいます。
どうぞ、ゆっくりと遊びにきてくださいね。


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