「利用者さんへの声かけ、これで合っているのかな」「気づかないうちに失礼な言い方をしていないだろうか」——介護の現場で、そんな不安を感じたことはありませんか?声かけは介護のあらゆる場面の土台になる技術なのに、体系的に教わる機会は意外と少ないものです。
先にお伝えしたいのは、声かけは「センス」ではなく「技術」だということです。場面別の基本例、やってしまいがちな悪い例とタブー、そしてNGワードの言い換えを知れば、誰でも確実に上達します。さらに、言葉そのものと同じくらい大切なのが、表情・距離感・声のトーンといった非言語コミュニケーションです。
この記事では、現役ケアマネの私が、明日の現場からすぐ使える声かけの具体例と言い換え、そして言葉より先に届く非言語の技術を、まとめて整理してお伝えします。
介護の声かけ基本例【場面別】——食事・入浴・排泄・移乗ですぐ使える言葉
まずは、介助の主要な場面ごとに「そのまま使える声かけ例」を整理します。共通する原則は「予告する・選んでもらう・急かさない」の3つです。
食事・水分補給の声かけ例
食事の声かけで大切なのは、食欲を引き出すことと、誤嚥を防ぐペースづくりです。「お昼ごはんの時間ですよ。今日は○○さんのお好きな煮魚です」のように、メニューの内容を具体的に伝えると、食事への関心が高まります。
食事中は「ゆっくりで大丈夫ですよ」「一口ずつ、よく噛んでいきましょうね」と、ペースを落ち着かせる言葉を添えます。食が進まないときは「無理しなくていいですよ。スープだけでも飲んでみますか?」と、選択肢を示す形が有効です。水分補給では「お茶にしますか、お水にしますか?」と二択で聞くと、答えやすくなります。「何か飲みますか?」という開いた質問より、選択肢を絞った聞き方のほうが負担なく答えられるからです。
「早く食べてください」「まだ残っていますよ」のような急かす言葉は、食事を義務に変えてしまい、かえって食欲を奪います。食事は一日の中の楽しみの時間。その雰囲気を声かけでつくることが、介助者の役割です。
食前の声かけも効果的です。「今日は天気がいいから、ごはんもおいしく感じそうですね」のような何気ない一言が、食事モードへの切り替えを助けます。覚醒が不十分なまま食事を始めると誤嚥のリスクが上がるため、しっかり目が覚めているかを会話で確認する意味もあります。
入浴・排泄介助の声かけ例——羞恥心への配慮が最優先
入浴と排泄は、利用者さんの羞恥心とプライドに最も深く関わる場面です。声かけの第一原則は「周囲に聞こえない声量・直接的な単語を避ける」こと。フロア全体に聞こえる声で「トイレ行きましょう!」と言われたら、誰だってつらいものです。
排泄の誘導なら、そっと近づいて「○○さん、ちょっとご案内したいところがあるのですが」「お手洗い、念のため寄っておきませんか」のように、さりげなく伝えます。失敗があったときも「大丈夫ですよ、すぐきれいになりますからね」と、責めるニュアンスを一切入れないことが鉄則です。
入浴では「お風呂の準備ができましたよ。温まりましょうか」と楽しみとして誘い、脱衣や洗身では「失礼しますね」「次は背中を流しますね」と、一つひとつの動作の前に必ず断りを入れます。「されるがまま」の状態は、想像以上に不安と屈辱を感じさせるからです。
入浴を嫌がる方には、「お風呂」という言葉を使わずに「温かいタオルで気持ちよくしませんか」「足だけ温めてみませんか」と、ハードルの低い提案から入る方法もあります。断られたら一度引いて、時間を置いてから別の言い方で再度誘う。「説得」ではなく「誘い方を変える」のがコツです。
移乗・歩行介助の声かけ例——不安を減らす「予告型」
移乗や歩行の場面では、利用者さんは「落ちるかもしれない」「転ぶかもしれない」という身体的な不安の中にいます。だからこそ、これから何をするのかを先に伝える「予告型」の声かけが基本です。
「これから車いすに移りますね」「私の肩につかまってください」「いち、にの、さんで立ちましょう。せーの」——動作の直前に短く予告し、タイミングを合図することで、利用者さん自身の力を引き出せます。本人が動こうとする前に介助者が動かしてしまうと、不安だけでなく拘縮や意欲低下にもつながります。
歩行中は「ゆっくりで大丈夫ですよ」「左に曲がりますね」と、進行方向や段差を先に言葉にします。終わったあとの「上手に立てましたね」「今日は足取りが軽いですね」という一言も、次への意欲につながる大切な声かけです。介助の前後に一言ずつ添えるだけで、「運ばれる」介助が「一緒に動く」介助に変わります。
- 声かけの原則は「予告する・選んでもらう・急かさない」
- 食事は楽しみの雰囲気づくり、二択の質問で答えやすく
- 入浴・排泄は羞恥心への配慮が最優先。声量と言葉選びに注意
- 移乗・歩行は動作の直前に短く予告して不安を減らす
介護の声かけの悪い例とタブー——NGワードの言い換え一覧
次に、現場でやってしまいがちな悪い例とタブーを整理します。悪気がなくても、利用者さんの尊厳を傷つけてしまう言葉は確実に存在します。「知らずに使っていた」をなくすことが目的です。
子ども扱い・タメ口・赤ちゃん言葉がNGな理由
「○○ちゃん、ごはんおいしいでちゅか」「えらいえらい、よくできました」——こうした赤ちゃん言葉や子ども扱いは、介護現場のタブーの代表格です。親しみのつもりでも、利用者さんは人生の先輩であり、何十年も社会と家庭を支えてきた大人です。子ども扱いは、その歴史への敬意を欠く行為になってしまいます。
タメ口も同様です。信頼関係ができてからの自然なくだけた会話と、初めから一方的に距離を詰めるタメ口は別物です。基本は丁寧語を土台に、「○○さん」と名字でお呼びすることから始めます。あだ名や「おばあちゃん」「おじいちゃん」という呼び方も、ご本人の了承なく使うのは避けましょう。
言い換えるなら、「えらいえらい」ではなく「さすがですね」「助かりました」。「○○ちゃん」ではなく「○○さん」。敬意を保ったまま親しみを伝えることは、十分に両立できます。
命令形・否定形の言い換え例——「ダメ」を「こうしましょう」に変える
「立っちゃダメ!」「動かないで!」——事故を防ぎたい一心で出てしまう命令形・禁止形ですが、言われた側に残るのは「叱られた」という感情だけです。行動の理由は伝わらず、同じ行動が繰り返され、関係だけが悪化していきます。
言い換えのコツは「禁止」を「提案・依頼」に変換することです。「立っちゃダメ」は「座って待っていてもらえますか。すぐ戻りますね」に。「動かないで」は「ここを持っていてもらえると助かります」に。「早くして」は「ゆっくりで大丈夫ですよ。お手伝いしましょうか」に。同じ目的でも、伝わり方はまったく変わります。
知っておきたいのが「スピーチロック」という考え方です。「ちょっと待ってて」「動かないで」のような言葉で相手の行動を制限することは、身体を縛らなくても「言葉による拘束」にあたるとされています。鍵も縄も使っていないのに、言葉一つで相手の自由を奪ってしまう——忙しい現場ほど無意識に出やすいからこそ、自分の口癖を一度点検してみる価値があります。
もう一つのタブーは「何度も言ったでしょう」「さっきも説明しましたよ」という過去を責める言葉です。覚えていないことを責めても、できるようになるわけではありません。「もう一度ご説明しますね」と、毎回が初めてのつもりで伝え直すのがプロの対応です。
認知症の方へのタブー——否定・訂正・急かしの言い換え
認知症の方への声かけには、特有のタブーがあります。代表が「否定」と「訂正」です。「家に帰りたい」という訴えに「ここがお家ですよ」と正面から訂正しても、ご本人の中の事実は変わらず、不安と混乱だけが深まります。
有効なのは、まず気持ちを受け止める声かけです。「家に帰りたい」には「お家が気になるのですね。お家ではどんなことをされていたんですか?」と、訴えの奥にある気持ちに寄り添います。事実の訂正ではなく感情の受容——これが認知症ケアの声かけの軸です。間違いを正そうとするほど、ご本人にとってこちらは「自分の世界を否定する人」になってしまうことを覚えておいてください。
「急かし」もタブーです。認知症の方は、言葉の理解と反応に時間がかかることがあります。返事を待たずに次の言葉を重ねると、混乱はさらに深まります。一つの文を短くし、一呼吸おいて待つ。「ごはんですよ」と伝えたら、反応が返るまで数秒待つ。この「待つ技術」が、どんな言葉選びよりも効くことがあります。
- 赤ちゃん言葉・子ども扱い・一方的なタメ口は尊厳を損なうタブー
- 禁止・命令形は「提案・依頼」の形に言い換える
- 「何度も言ったでしょう」は禁句。毎回初めてのつもりで伝え直す
- 認知症の方には否定・訂正・急かしを避け、感情の受容と「待つ技術」で応える
言葉より先に届く——非言語コミュニケーションの基本
どんなに良い言葉を選んでも、表情がこわばっていたり、立ったまま見下ろす位置から話していたりすると、言葉は届きません。声かけの土台になるのが、非言語コミュニケーションです。
目線の高さと距離感——「見下ろさない」だけで伝わり方が変わる
車いすやベッドの利用者さんに立ったまま話しかけると、物理的に「見下ろす」構図になります。同じ言葉でも、目線が上から来るだけで威圧感が生まれます。腰を落とす、椅子に座る、片膝をつく——目線を相手と同じ高さか少し下に合わせるだけで、安心感はまったく変わります。
距離感も大切です。近すぎる距離は圧迫感を与え、遠すぎると「自分に話している」と認識されにくくなります。正面から急に近づくのではなく、視界に入る位置から声をかけ、相手の反応を見ながら少しずつ距離を縮めるのが基本です。聴力に左右差がある方には、聞こえやすい側から話しかける配慮も効果的です。
身体の向きにも意味があります。真正面に向き合う位置は、人によっては対決のような緊張を生むことがあります。少し斜めの位置から、同じ方向を見るような角度で関わると、圧迫感が和らぎ、自然な会話が生まれやすくなります。
触れ方(タッチング)の基本——驚かせず、許可を得て、ゆっくり
手を優しく握る、背中にそっと手を添える——タッチングは、言葉以上に安心感を伝えられる非言語の技術です。ただし、触れ方には原則があります。背後から突然触れない、声をかけてから触れる、点ではなく面で(指先でつつくのではなく手のひら全体で)ゆっくり触れる、の3つです。
触れられることへの感じ方は人によって大きく違います。嫌がるそぶりがあれば無理に触れず、握手や肩への軽いタッチなど、受け入れられやすいところから始めます。相手の反応を見守りながら行うこと——これがタッチングの大前提です。
表情・うなずき・間の取り方——「聴いている」を身体で示す
穏やかな笑顔は、それだけで「あなたを受け入れています」というメッセージになります。特に認知症の方は、言葉の内容よりも表情や雰囲気を敏感に感じ取ります。マスク姿が多い現場では、目元の表情と声の調子が普段以上に大切になります。
話を聴くときは、うなずきと相づちで「聴いていますよ」を身体で示します。そして、沈黙を恐れないこと。相手が言葉を探している時間は、こちらが埋めるべき空白ではなく、相手の考えがまとまるのを待つ大切な「間」です。すぐに反応せず一拍待つだけで、会話の質が変わります。
- 目線は相手と同じ高さに。見下ろす構図をつくらない
- タッチングは「声をかけてから・面で・ゆっくり」が原則
- 表情とうなずきで「聴いている」を身体で示す
- 沈黙は埋めるものではなく、相手を待つための「間」
声のトーン・速さ・大きさ——「何を言うか」より「どう言うか」
同じ「大丈夫ですよ」でも、早口で言うのと、ゆっくり穏やかに言うのとでは、伝わるものがまったく違います。声の出し方は、それ自体が非言語コミュニケーションの一部です。
基本は「低めのトーンで・ゆっくり・はっきり」です。高齢になると高音域が聞き取りにくくなる方が多いため、大きな声を張り上げるよりも、少し低めの声で、一語一語をはっきり区切って話すほうが届きます。「大きい声=親切」ではありません。むしろ必要以上の大声は、本人の自尊心を傷つけ、周囲への個人情報の漏れにもつながります。
話すペースは、相手の反応の速さに合わせます。焦って言葉を重ねるより、一文を短くして一呼吸おく。イライラした感情は声に乗りやすいので、余裕がないときこそ、話す前に深呼吸を一つ入れてみてください。あなたの落ち着いた声そのものが、利用者さんにとっての安心材料になります。
逆に、楽しい場面では声の明るさを少し上げる、励ます場面では力強さを添えるなど、場面に合わせた「声の使い分け」ができるようになると、声かけの効果は何倍にもなります。
自分の声を客観的に知る機会は少ないものです。余裕があれば、申し送りや記録の音声入力などで自分の話し方を聞いてみると、「思ったより早口だった」「語尾が強かった」という発見があります。声は意識すれば必ず変えられる、数少ない「すぐ改善できる介護技術」です。
- 基本は「低めのトーンで・ゆっくり・はっきり」
- 大声は親切ではない。自尊心とプライバシーへの配慮を
- 一文を短く、一呼吸おいて、相手のペースに合わせる
- 余裕がないときこそ、話す前に深呼吸を一つ
声かけが苦手なあなたへ——うまく話せないのは技術不足であって人間性の問題ではない
「声かけが苦手」「利用者さんとうまく話せない」と悩んでいる方に、まず伝えたいことがあります。それは、声かけの苦手さは人間性の問題ではなく、ただの技術と経験の不足だということです。
苦手の正体は「経験不足」と「教われない環境」
声かけが上手な先輩も、最初から上手だったわけではありません。場面ごとの引き出しが経験で増え、相手の反応を見るゆとりが生まれ、結果として「自然な声かけ」に見えているだけです。つまり、苦手の正体の半分は単なる経験不足で、これは時間と練習が解決します。
もう半分は、環境の問題です。声かけを体系的に教えてくれる先輩がいない、忙しすぎて利用者さんとゆっくり話す余裕がない、質問できる雰囲気がない——こうした職場では、上達のしようがありません。「自分はコミュニケーションが下手だ」と責任を一人で背負う前に、教われる環境にいるかどうかを振り返ってみてください。
明日からできる練習法
練習は小さく始めるのがコツです。おすすめは「一日一場面」方式。今日は食事の声かけだけ、明日は移乗の予告だけ、と場面を一つ決めて、この記事の例文を一つ試してみる。全部を一度にやる必要はありません。
もう一つは「上手な先輩の観察」です。利用者さんの表情が和らぐ声かけをしている先輩の、言葉・声のトーン・目線の高さをセットで観察し、使えそうなフレーズをメモして真似してみる。声かけは模倣から始まる技術なので、真似は立派な練習です。うまくいった声かけを記録しておくと、自分専用の「声かけ集」が育っていきます。
うまくいかなかった日があっても、自分を責めないでください。相手の体調や気分によって、同じ声かけでも反応は変わります。「今日は届かなかった」は失敗ではなく、その方を知るためのデータが一つ増えたということです。
教育体制のある職場なら声かけは必ず上達する
声かけやコミュニケーションの研修が定期的にあり、先輩が実際の場面でフィードバックをくれる職場では、新人の声かけは目に見えて上達していきます。逆に、教育のない職場で「コミュ力がない」と評価だけされるのは、泳ぎ方を教えずに「泳げない」と言われているようなものです。
もし「うまく話せないのは自分が介護に向いていないからでは」とまで思い詰めているなら、それは技術の問題と適性の問題を混同しているサインかもしれません。こちらの記事で一度整理してみてください。→「自分は介護に向いていないのでは」と感じている方はこちら
- 声かけの苦手さは人間性ではなく技術と経験の不足
- 苦手の半分は「教われない環境」の問題かもしれない
- 「一日一場面」と「先輩の観察・模倣」で小さく練習する
- 教育体制のある職場なら声かけは必ず上達する
言葉が届かない場面の声かけ——看取り期・終末期の寄り添い方
介護を続けていると、いつか必ず「言葉での応答が難しくなった方」と向き合う場面が来ます。看取り期・終末期こそ、声かけと非言語の技術がいちばん深く問われる場面です。
反応が薄い方への声かけと非言語の使い方
応答が返ってこなくても、聴覚は最期まで保たれやすいといわれています。だからこそ、反応がない方にも、これまでと同じように声をかけ続けることに意味があります。「おはようございます、○○です。今日はいいお天気ですよ」「今からお身体を拭きますね」——返事を前提にしない、穏やかな実況と予告の声かけです。
同時に、手を握る、そっと触れる、そばに座って同じ時間を過ごすといった非言語の関わりが、言葉以上の寄り添いになります。沈黙のまま隣にいること自体が、立派なコミュニケーションです。
この段階では、ここまでお伝えしてきた声かけと非言語の技術がすべてつながります。穏やかな声のトーン、ゆっくり面で触れるタッチング、急がない間の取り方——日々の介助で積み重ねてきた技術が、人生の最終段階の寄り添いを支えてくれるのです。
看取り期の声かけの基本
看取り期の声かけでは、励ましの言葉がかえって負担になることがあります。「頑張ってください」よりも「そばにいますよ」「ゆっくり休んでくださいね」と、安心を届ける言葉が基本です。ご家族への声かけも含め、この時期特有の言葉選びには知っておくべきポイントが多くあります。
看取り期・ターミナル期の具体的な声かけ例とNGワードについては、こちらの記事で詳しく整理しています。→ターミナル期の声かけとNGワードを詳しく知りたい方はこちら
初めてのターミナルケアが不安な方へ
初めて看取りに関わるときは、「自分の声かけや関わり方が正しいのか」と不安になるのが当たり前です。怖いと感じることは、不謹慎でも未熟でもありません。その不安との向き合い方は、こちらの記事でお伝えしています。→初めてのターミナルケアが怖い・不安な方はこちら
- 反応がなくても聴覚は保たれやすい。声かけを続けることに意味がある
- 看取り期は励ましより「そばにいますよ」の安心を届ける言葉を
- 沈黙のまま隣にいることも立派なコミュニケーション
「声かけを学べる職場」と「学べない職場」の違い
ここまで読んで「練習したいけれど、今の職場では難しいかもしれない」と感じた方もいるのではないでしょうか。実は、声かけの上達スピードは、個人の努力以上に職場環境に左右されます。
声かけを学べる職場には共通点があります。コミュニケーションや認知症ケアの研修が定期的にある、先輩が現場で具体的にフィードバックしてくれる、そして何より、利用者さん一人ひとりとゆっくり関わる時間的余裕がある——人員配置に余裕があるからこそ、丁寧な声かけの文化が育つのです。
ケアマネとしてさまざまな施設と関わってきた経験からも、利用者さんの表情が穏やかな施設は、例外なく職員さんの声かけが丁寧です。そしてそういう施設は、職員教育に時間とお金をかけています。声かけの質は個人の資質ではなく、職場の文化の反映なのだと感じます。
逆に、慢性的な人手不足で業務を回すだけで精一杯の職場では、声かけは「時間を奪うもの」として削られていきます。「話しかけている暇があったら次の介助」という空気の中では、どんなに学ぶ意欲があっても実践の場がありません。流れ作業のような介助に心を痛めているなら、それはあなたの感受性が正常だという証拠です。丁寧なケアがしたいという気持ちは、それを実現できる環境でこそ活きます。
今すぐ転職するつもりがなくても、「研修制度が整った職場」「人員に余裕のある職場」がどんな条件で募集されているのかを知っておくだけで、今の環境を客観視できます。情報を持っているだけで気持ちに余裕が生まれる——それが、転職サービスを「お守り代わり」におすすめする理由です。介護専門のエージェントなら、教育体制や職場の雰囲気といった内部情報も教えてもらえます。登録・相談は無料です。→介護職の求人、募集は【レバウェル介護】![]()
- 声かけの上達は職場の教育体制と時間的余裕に左右される
- 流れ作業の介助に心が痛むのは、感受性が正常な証拠
- 「学べる職場」の求人条件を知っておくだけでも心の余裕になる
まとめ|声かけは技術。そしてあなたの優しさを伝える手段
介護の声かけは、生まれつきのセンスではなく、例を知り、タブーを避け、練習すれば誰でも上達する技術です。そしてその技術は、あなたの中にある「利用者さんを大切にしたい」という気持ちを、相手に届く形に変換するための手段です。
場面別の基本例、悪い例の言い換え、非言語の土台、声のトーン——この記事の内容を全部一度にやる必要はありません。明日の現場で、どれか一つだけ試してみてください。利用者さんの表情が少し和らぐ瞬間が、次の一歩の何よりのモチベーションになります。
そして、もし「練習したいのに、それができる余裕も教えてくれる人もいない」と感じているなら、それはあなたの問題ではなく環境の問題かもしれません。丁寧なケアをしたい気持ちを、あきらめないでください。
- 声かけの原則は「予告する・選んでもらう・急かさない」
- 赤ちゃん言葉・命令形・否定や訂正はタブー。提案と受容に言い換える
- 目線・触れ方・表情・声のトーンという非言語が言葉の土台
- 苦手の正体は経験不足と環境。教育体制があれば必ず上達する
- 看取り期は「そばにいますよ」の安心を、言葉と非言語の両方で届ける
丁寧な声かけができる環境で働きたいと感じた方は、教育体制で職場を選び直すという選択肢もあります。→教育体制で職場を選び直すなら——転職サービス比較はこちら
このブログを書いている「まきこむ」と申します。
介護支援専門員(ケアマネジャー)として働きながら、趣味で創作活動も楽しんでいます。
介護にまつわる悩みや、日々の気づき、そして「やさしい未来を一緒に歩むためのヒント」を、このブログにそっと詰め込んでいます。
読んでくださった方の心が、少しでも軽くなるように。そんな思いを込めて、言葉を紡いでいます。
どうぞ、ゆっくりと遊びにきてくださいね。








コメント